CFSと重量鉄骨の共通点と相違点【海外レポ】

*本ページでは米国Build Steel.orgが提供している記事を翻訳して紹介します。

CFS建築と重量鉄骨造、両者の特徴を比較します

構造用木材の価格は、不安定なことで知られています。現在、木材価格は過去最高を記録しているため、ビルのオーナーや建設会社は、今後のプロジェクトのために構造用木材の代わりとなるものを探し続けています。

Steel Framing Industry Association (SFIA)が最近行った、5階建て49,900 SF(≒4636㎡)の複合施設の構造体に関する比較コスト調査によると、CFSのコストは構造用木材よりも0.92%しか高くないことが分かりました。R.A.Smith社の発表によると、現在の木材価格を考慮して同じ構造を作った場合、CFS建築は木造よりも24%低いコストとなります。

ある調査によると、5階建て49,900 SFの複合施設をCFSで組み立てる場合、木造で組み立てる場合と比較して0.92%のコスト増にしかならないことがわかりました。

スチールは比較的安価であり、サステイナブルな効果が実証されていることから、CFSや重量鉄骨を木造の代替材として検討する建築関係者が増えています。そのため、設計者や施工者の中には、初めて鉄骨を使用する人もいるでしょう。

CFSと重量鉄骨の違いとは?

CFSと重量鉄骨は、耐久性、強度、手頃な価格、メンテナンスのしやすさ、持続可能性など、いくつかの性能特性を共有しています。

しかし、この2つの材料タイプの重要な違いについて説明しましょう。

冷間成形されたスチールフレームは、収縮したり割れたりせず、湿気を吸収せず、反りやシロアリ、火災にも耐性があります。

CFS建築

CFSは一般的に薄板軽量形鋼と呼ばれています。垂直方向と水平方向の構造要素は、主に繰り返し使用されるフレーム部材で形成されています。フレーミングメンバーは通常、16インチ(≒40cm)または24インチ(≒60cm)の間隔で配置されていますが、荷重や被覆に応じて間隔を変えています。

・商業施設に適しています
CFSは、軽量で強度が高く、施工が容易で不燃性であることから、集合住宅や商業施設のカーテンウォールやパーティションに適した素材です。
・柔軟な使用法
CFSは、壁パネル、床根太、屋根トラス、構造壁の建設において多くの利点をもたらします。
・加工量が少ない
CFSのフレーミングは木材に似ています。しかし、CFSは正確な長さに合わせて製造されるため、現場での切断やサイズ調整はほとんど必要ありません。
・廃棄物の削減
CFSフレームは、木材フレームに比べて現場での廃棄物が非常に少なく、瓦礫撤去のコストも抑えられます。

CFSスチールの厚さは、構造用および非構造用の幅広い用途に対応できるよう、さまざまな種類が用意されています(0.0147インチ(≒0.37mm)から約1/8インチ(≒3.2mm)まで)。標準的なCFS製品は、AISI S201, North American Standard for Cold-Formed Steel Framing – Product Data, 2012 Editionに定義されています。

CFSは、10階建て以上の建物の主要な構造システムとしても使用されることが多くなっています。また、一戸建て住宅の骨組みにも使用されるようになってきています。様々なメーカーから様々なCFSフレーミング製品が発売されています。

重量鉄骨は熱間圧延されたもので、CFSよりもはるかに厚く、強度も重さもかなりのものです。

重量鉄骨造

重量鉄骨は熱間圧延されたもので、CFSよりもはるかに厚く、強度も重さもかなりのものです。”熱間圧延”とは、鋼が溶けた状態で部材を成形すること。CFSよりも厚く、重いため、熱間圧延鋼の締結方法には、溶接、ボルト、リベットが用いられます。

米国鉄鋼建設協会は、重量鉄骨の利点を次のように述べています。

・高さ制限がない
重量鉄骨の耐荷重性のため、建物の高さに制限がない。世界で最も高いビルの多くが重量鉄骨を使用しています。
空間計画に柔軟性がある。重量鉄骨によるラーメン構造は、長大なスパンと柱のないオープンな空間を可能にし、耐力壁の配置に依存しません。使用可能な床面積の増加と空間計画の柔軟性は大きな利点であり、デザインの可能性を広げます。
・廃棄物と汚染の削減
米国で生産される重量鉄骨は、平均して93%がリサイクル材で構成されており、重量鉄骨の100%が新しい鉄鋼製品にリサイクル可能です。スチールの高い強度重量比と、熱間圧延されたスチール1トンあたり1.16トンのCO2排出量という低いカーボンフットプリントが相まって、一般的な構造物の埋め込み炭素量を全体的に削減することができます。
柱の間隔は、一般的には25〜45フィート(約7.62~13.7m)ですが、建築上の要求に応じて間隔を狭めたり広げたりします。また、形状やサイズのバリエーションが豊富なため、建築上の要求をほぼすべて満たすことができます。

ワイドフランジビームやコラムなどの熱間圧延構造用鋼の形状は、ASTM A6(Standard Specification for General Requirements for Rolled Structural Steel Bars, Plates, Shapes and Sheet Piling)に定義されています。鋼板から成形された様々な中空断面部材(HSS)が様々なメーカーから販売されています。鋼板を使用して、任意の組立断面を製造することもできます。

重量鉄骨造は、米国では米国鉄鋼建設協会、カナダではカナダ規格協会が策定した規格に基づいて設計、製造、施工されます。また、ほぼすべての建築レイアウトに対応しており、さまざまな建築プロジェクトで日常的に使用されています。

米国の非住宅建築物では、構造用鋼が最も一般的な骨組み材料であり、年間の建築面積の半分以上が重量鉄骨造で組まれています。

この建物のフレームシステムは、CFS耐力パネルとバー・ジョイストスチール構造のハイブリッドでした。

CFSと構造用鋼骨組の比較

CFSは重量鉄骨と比較して躯体重量を大きく減らすことが出来ます。

小規模な建築物の場合、躯体重量はプロジェクトのコストを増加させます。一戸建て住宅の場合、構造物全体を構成するのに構造用鋼は通常必要ありません。しかし、大規模な商業施設では、重量鉄骨の強度が必要になる場合があります。

Base4では、CFSと重量鉄骨を併用するプロジェクトが多いといいます。一般的な集合住宅のプロジェクトでは、CFSと重量鉄骨の両方の利点を活用することで、建築主にとって大きな利点が生まれます。

・1階のピロティは、アメニティースペースとして1階にある大きなオープンエリアに対応するために、重量鉄骨造にて構成します。

・上の階のユニットフロアはCFS建築にて構成しています。

CFSも重量鉄骨も、低層、中層、高層の建物に最適な骨組みを提供します。丈夫で耐久性があり、リサイクル可能で費用対効果の高いスチール構造は、ビルのオーナーや設計者に選ばれている建築部材です。

How Cold-Formed Steel and Structural Steel Are Alike – and Different